書体の選び方【欧文編・セリフ体】

書体の選び方【欧文編・セリフ体】

先日日本語編をご紹介致しましたので、今回は欧文書体についてまとめます。欧文書体は主に「セリフ体」「サンセリフ体」「スクリプト体」「装飾体」に分けられます。非常に奥深く、それぞれ分類も魅力も多いので、複数回通してご紹介させていただきます。

セリフ体

ローマン体とも呼ばれ、非常に古くからある書体です。日本の明朝体と同じように、平筆で書かれた文字をベースにデザインされており、線の太さが異なっているのが特徴です。

「セリフ」とは、書体の端にあるひげのような装飾のことを呼びます。ちなみに「サンセリフ」の「サン(Sans)」は、フランス語で「無い」という意味を持っています。「セリフ」が「あるもの」と「無いもの」で覚えましょう。

セリフ体の中でもさらに大きく4つの種類に分けることができます。

オールド・ローマン

オールドローマンは古い文字をベースに作られたもので、厳かな王道感のあるデザインになるのが特徴です。

「Trajan」は2000年以上昔のローマ帝国時代の石碑に彫られた文字をベースに作られたフォントです。特徴としては小文字が存在しないこと、「D」と「E」を比べても分かる通り、文字によって幅が大きく異なっていることなどが挙げられます。チョコレートを取り扱うブランド『GODIVA』のロゴや、映画『Titanic(タイタニック)』もこの書体をベースに作られています。

「Garamond」は16世紀にフランスのクロード・ギャラモンが活版印刷のために製造した活字で、それまでの活字と比べ可読性に優れており、見出しにも本文にも使いやすいのが特徴です。

トランジショナル・ローマン

移行中、過渡期などの意味を持つ「Transitional」と名付けられた、「オールドローマン」と次に出てくる「モダンローマン」の間をつなぐ書体です。新聞や論文の作成にも適した、読みやすい書体が揃っているのが特徴です。

「Baskervill」は、イギリスのジョン・バスカーヴィルが作った書体です。当時イギリスは産業革命の真っ只中で、印刷技術も飛躍的に向上していました。それまではつぶれてしまっていた精密な線まで印刷できるようになったため、このように細く洗練された書体が生まれるようになります。

モダン・ローマン

モダン・ローマンは細い線と太い線のコントラストがはっきりしており、都会的な洗練された印象を持つ書体です。

「Didot」は女性ファッション誌『VOGUE』や『Harper’s BAZZAR』などの表紙でも使用される、モダン・ローマンの代表的な書体です。小さな文字では細い線がつぶれてしまうため、見出しなど大きく使うのに向いています。

スラブ・セリフ

「スラブ(Slab)」には「厚い板」という意味があり、セリフ部分が極端に太くなっていることが特徴です。19世紀初頭、ナポレオンがエジプトへ遠征し、エジプト商品が流行した頃に出た文字なので「エジプシャン」とも呼ばれています。(しかしエジプトとは一切関係ありません。)太く目立ちやすく、セリフ体とサンセリフ体の中間の印象を持っています。

「Rockwell」は1934年にMonotype社が開発した書体で、サンセリフの特徴である一様に太い線、直線的な表現であるところを色濃く受け継いでいます。1990年代、ギネスの公式書体として使用されていました。

まとめ

セリフ体は歴史が古く、その歴史の中で特徴を少しずつ変えながら使用されてきました。そのため、どんなニーズにも合う書体が揃っています。

  • ● オールド・ローマン・・・王道感、荘厳な雰囲気
  • ●トランジショナル・ローマン・・・論文、新聞など長い文章
  • ●モダン・ローマン・・・都会的なおしゃれな雰囲気
  • ●スラブ・セリフ・・・目立たせたい、19世紀のヴィンテージな雰囲気

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